豪華スポーツウォッチの双璧:ロレックス「ランド・ドウェラー」とチュードル「ロイヤル」

ロレックス グループに属する二大ブランド、ロレックス(Rolex)とチュードル(TUDOR)。この二つは一見すると“兄弟”のような親和性を持ちながらも、それぞれが異なる価値を提案しています。
例えば、チュードルの「ブラックベイ プロフェッショナル」はロレックスの旧型エクスプローラーII Ref.1655に、“そっくり”なデザインを継承。また、「ブラックベイ 1958 GMT」は初代グローマスター Ref.1675のカラー配置をオマージュしています。
そして、2020年代の現在、この“兄弟”関係が最も顕著に表れているのが、豪華スポーツウォッチ(プレステージ・スポーツウォッチ)という分野です。その中心にいるのが、ロレックス「オイスターパーペチュアル・ランド・ドウェラー(Land-Dweller)」と、チュードル「ロイヤル(Royal)」の二大シリーズです。
TUDOR Royal:若き革新者
チュードルが2020年にラインナップに加えた「ロイヤル」は、同ブランドにとっての初の本格的豪華スポーツウォッチです。ブランドスローガンである“Born to Dare(天生敢为)”の通り、ロレックスグループの新技術や新素材は、しばしばチュードルが先行して採用することが多いのも特徴です。
デザインの特徴:豪華スポーツウォッチの象徴である一体型ブレスレットを採用。ケースから直接ブレスレットが伸びるこの設計により、洗練されたシルエットを実現しています。また、ベゼルのギョロ目状のパターンは、ロレックスでお馴染みの“フルートベゼル(狗牙圈)”を彷彿とさせます。
バリエーション:41mm、38mm、34mm、28mmと、幅広いサイズ展開が魅力。素材もステンレススチールに加え、ゴールドとステンレスを組み合わせた“コンビモデル”も用意されています。
ムーブメント:41mmのデュアルカレンダーモデルには、セリータ(Sellita)をベースにチュードルが独自に改修を加えたCal. T603を搭載。振動数28,800VPH、動力貯蔵38時間と、実用性に優れたスペックを備えています。
Rolex Land-Dweller:2025年の帰還
一方のロレックスは、2025年の新作発表において、長年の懸念材料であった豪華スポーツウォッチの空白を埋めるモデルを投入しました。それが「オイスターパーペチュアル・ランド・ドウェラー」です。
ロレックスがこの分野に本格参入するのは、1970年代の“オイスターキューヴリック(Oysterquartz)”以来、実に半世紀ぶりの帰還とも言えます。
デザインの特徴:ランド・ドウェラーは、1970年代のオイスターキューヴリックのDNAを現代的に蘇らせたモデルです。ケースとブレスレットが滑らかに一体化した“一体型”デザインは、まさに豪華スポーツウォッチの王道。
ケース径:36mmと40mmの2サイズ展開。
素材:ステンレススチール(Oystersteel)に加え、18Kホワイトゴールド、18Kエバーローズゴールド、そして950プラチナの高貴な素材を採用。
革命的ムーブメント「Cal. 7135」:このモデルの最大の見どころは裏蓋の向こうにあります。ロレックスが新開発したCal. 7135は、同社初の背透し(スケルトンバック)を採用した機械式ムーブメントです。
高振動:振動数は驚異の5Hz(36,000振動/時間)。これにより、秒針の動きは滑らかになり、精度も向上。
革新的擒脱機:シリコン製の「ダイナパルス(Dynapulse)」擒脱機を採用。エネルギー効率を高めながら、66時間もの長動力貯蔵を実現しています。

総括
チュードル「ロイヤル」は、ロレックスの技術ノウハウを活かしながらも、若々しくカジュアルな雰囲気を演出する“アダルトカジュアル”の最良解です。一方、ロレックス「ランド・ドウェラー」は、高振動機械式ムーブメントという技術的革新と、プラチナという高貴な素材で、“ラグジュアリースポーツウォッチ”の新たな頂点を極める存在です。
かつては“貧乏人のロレックス”と揶揄されたチュードルも、今やロレックスと共に、高級時計市場において“双璧”をなす存在にまで成長したと言えるでしょう。